目次
たんぱく質とは
英語名:protein
人の体は、約10万種類のたんぱく質で作られています。たんぱく質は、アミノ酸の集まりです。たんぱく質を構成するアミノ酸は、20種類。
アミノ酸の種類・量・組み合わせによって、いろいろな種類や働きのたんぱく質が作られます。
たんぱく質は、1gあたり約4kcalのエネルギーを生みます。
たんぱく質の体内での働き
たんぱく質は、身体の骨・筋肉・皮膚・毛髪・内臓などのさまざまな組織を構成する原料です。分解と合成を繰り返して、体内に保存されています。
たんぱく質が分解されたアミノ酸は、「アミノ酸プール」という場所に貯められます。そして、新しいたんぱく質が合成される時の原料になります。
「アミノ酸プール」とは、血液や骨格筋などの組織にある、たんぱく質の貯蔵庫のようなものです。
たんぱく質は、身体の代謝や、機能を調整する成分でもあります。
また、たんぱく質は、酵素やホルモン、神経伝達物質などの成分にもなります。赤血球の中の、酸素を運ぶヘモグロビンなどの血液成分、遺伝子、免疫物質も、たんぱく質の一種から構成されています。
エネルギー源としてのたんぱく質
炭水化物や脂質よりも割合は少ないですが、分解されてエネルギー源として利用されます。
たんぱく質は、どのくらいとればいいの?
「日本人の食事摂取基準(2010年)」によると、たんぱく質の1日の摂取量は体重1kgあたり20g未満が適当。
激しい運動=たんぱく質の必要量が増加
適度な運動=たんぱく質の利用効率を高めて、必要量を抑える。
運動が、必ずしもたんぱく質の必要量を増加させるとは限らない。逆に、極端に身体活動量が少ない生活は、たんぱく質の利用効率が低下して、 必要量が増加します。
感染症や外傷などでも、たんぱく質の必要量は増加します。
たんぱく質が不足すると?
体たんぱく質は、分解されてアミノ酸になると、そのいち部は尿素などになり、体外に排出されます。たんぱく質は、常に作り変えられているため、食事から補給する必要があります。不足すると、体力や思考力の低下を招き、身体全体の機能低下につながります。
乳幼児や成長期の子どもの場合、成長障害が起こります。
たんぱく質を摂り過ぎると?
・食品から過剰に採ったぶんは、尿になります。そのため、腎臓に負担がかかります。
・糖の代謝を担うインスリンの働きが悪くなることがあります。
・カルシウムが尿に排出される量が多くなり、骨粗相症につながる恐れがあります。
コラム1 腎臓に気をつけよう!
たんぱく質は、体内で使われたあと、分解されて尿素などになり、身体の外に排泄されます。この機能を担っているのが、腎臓です。
そのため、腎臓の弱い人や腎臓の病気の人がたんぱく質を余計に摂ると、排泄という機能の負担が大きくなり、腎臓の機能の低下につながります。
逆に、たんぱく質を制限する食事療法を行うと、腎臓の保護や回復につながります。
腎臓病の人は、高カロリーの食事療法が行われることがります。エネルギー摂取量が少ないと、体内のたんぱく質の分解が進むのです。腎臓に負担をかけずにたんぱく質を摂取して利用するには、十分なエネルギー量が必要なのです。
コラム2 プロテインの効果は?
プロテイン=たんぱく質です。一般的には、サプリメントのことを指す場合が多いですね。アスリートが筋肉の量を増やしたい時や、ダイエットにも使用されます。
原料は、牛乳に含まれるホエー(乳清)、カゼイン、大豆たんぱく、卵たんぱくなどが用いられます。サプリメントとしてのプロテインも、基本的にはたんぱく質だけで作られているので、摂取するだけで筋肉増強の効果があるわけではありません。トレーニングを行い、たんぱく質以外の栄養素もしっかり摂ることで、十分な効果が発揮されます。
※ホエー=乳清
牛乳から乳脂肪とカゼインを除いたもの。ヨーグルトの上澄み液も、ホエーです。
※カゼイン
牛乳中に含まれる、主なたんぱく質。
コラム3 いちばん大切なもの?
たんぱく質は、英語で「protein」。言葉の由来は、ギリシア語の「プロティオス」=最も大切なもの、という意味です。漢字では「蛋白質」と書きますね。「蛋」は卵のことですが、卵白にたんぱく質が多く含まれることからつけられました。
コラム4 たんぱく質のパートナーは?
食事などで摂取したたんぱく質が、体内で有効に機能するためには、ビタミンB6が必要です。
ビタミンB6が多く含まれる食材:
にんにく、まぐろ、かつお、鶏肉、ピスタチオなど
たんぱく質の栄養価
たんぱく質の「質」を評価するモノサシ(指標)が、いくつかあります。そのひとつがアミノ酸スコアです。食品に含まれるたんぱく質の各必須アミノ酸量を、基準値(アミノ酸評点パタン、というもの)と比較して評価します。
アミノ酸について
アミノ酸は、たんぱく質やペプチドを構成する物質です。窒素を含む化合物です。生物の身体を構成するアミノ酸の種類は、20種類。この20種類のアミノ酸が、どのくらいの量で、どのように結合するかによって、さまざまなたんぱく質やペプチドが作られます。
人の身体を作るたんぱく質と、動物や植物を作るたんぱく質は、アミノ酸の配列が異なります。
私たちが食事などで摂取したたんぱく質は、消化・吸収される過程で、アミノ酸に分解されます。分解されたアミノ酸は、もういちどたんぱく質に合成されます。
必須アミノ酸とは
アミノ酸には、人間が身体の中で作ることができない種類のものがあります。そのため、食事などから摂取する必要があります。それらのアミノ酸を、必須アミノ酸と呼びます。
この必須アミノ酸を適切な割合で含むものが、「良質たんぱく質」です。牛乳、卵、肉類などです。お米は、一部の必須アミノ酸が少なく、良質たんぱく質ではありません。大豆と合わせて摂ると、米に不足しているアミノ酸を大豆が補うので、総合的に「良質」になります。このように、食べ合わせによって補うことを、アミノ酸捕捉効果、といいます。
最近は、個々のアミノ酸の効果・効能が注目されています。サプリメントも、多くの種類が販売されています。普段の食生活で、動物性・植物性をまんべんなく、多くの種類の食品をとれば、いろんな種類のアミノ酸を摂取できます。バランスの良い食事を摂っていれば、サプリメントで補う必要はありません。
必須アミノ酸
イソロイシン、ロイシン、リジン、含硫アミノ酸(メチオニン+シスチン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン+チロシン)、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン
非必須アミノ酸
アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン
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